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大阪地方裁判所 昭和56年(わ)6135号 判決

本籍

大阪府豊中市庄内西町三丁目七番地

住居

同町二丁目三番八号

不動産売買仲介業

泉収三

昭和一四年一二月九日生

右の者に対する所得税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官加藤友朗出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一年六月及び罰金三、五〇〇万円に処する。

被告人において右罰金を完納することができないときは、罰金額中一〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判が確定した日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、大阪府豊中市庄内西町三丁目三番八号において、不動産売買仲介業を営むものであるが、所得税を免れようと企て、

第一  昭和五二年分の所得額が九三、四七五、三三九円で、これに対する所得税額が五五、〇四六、四〇〇円であるのにかかわらず、売上の一部を除外し、よって得た資金を仮名の定期預金等として留保するなどの行為により所得を秘匿した上、同五三年三月一四日、大阪府池田市城南二丁目一番八号所在の豊能税務署において、同税務署長に対し、同年分の所得金額が六、四〇九、七一二円で、これに対する所得税額が一、二九五、五〇〇円である旨(申告所得額に対する所得税額は、一、三〇〇、七〇〇円であるが、違算のため一、二九五、五〇〇円としたもの)の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、所得税五三、七四五、七〇〇円を免れ、

第二  昭和五三年分の所得金額が八五、三九五、〇四三円で、これに対する所得税額が四八、九八九、一〇〇円であるのにかかわらず、前同様の行為により右所得の一部を秘匿した上、同五四年三月一五日、前記税務署において、同税務署長に対し、同年分の所得金額が五、〇一六、七八三円で、これに対する所得税額が六八一、一〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により所得税四八、三〇八、〇〇〇円を免れ、

第三  昭和五四年分の所得金額が一〇四、九〇二、八三〇円で、これに対する所得税額が六三、四一三、六〇〇円であるのにかかわらず、前同様の行為により、右所得の一部を秘匿した上、同五五年三月一五日、前記税務署において、同税務署長に対し、同年分の所得金額が一六、二四二、六八一円で、これに対する所得税額が五、〇九二、四〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により所得税五八、三二一、二〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全部の事実につき

一  被告人の公判廷の供述

一  被告人の検察官に対する供述調書

一  被告人の大蔵事務官に対する質問てん末書(一八通。請求番号五九ないし七六)

一  大蔵事務官作成の査察官調査書(一九通。同八ないし一一、一六ないし二六、三〇ないし三三)

一  同作成の調査報告書(同一三)

一  同作成の現金、預金、有価証券等現在高検査てん末書(三通。同一二、一四、一五)

一  森山茂男、三好邦弘、吉原健夫、中川勇、山本文雄、中田貴大、安村楢一各作成の供述書(同三四ないし四〇)

一  岡口憲治(二通)、松末清隆、安村楢一(二通)、霜田耕一、中川勇、和田政美、船曳忠雄、赤松敏夫、宮田衛、畦崎米子、沓抜時夫、細見武久、田中良男、小谷栄、河村康男の各大蔵事務官に対する質問てん末書(同四一ないし五七)

同第一の事実につき

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(同一)

一  被告人作成の所得税確定申告書謄本(同四)

一  検察官作成の報告書(同七)

同第二の事実につき

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(同二)

一  被告人作成の所得税確定申告書謄本(同五)

一  検察官作成の報告書(同七)

同第三の事実につき

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(同三)

一  被告人作成の所得税確定申告書謄本(同六)

一  大蔵事務官作成の査察官調査書(三通。同二七ないし二九)

(法令の適用)

被告人の判示第一ないし第三の所為は、いずれも昭和五六年法律第五四号附則五条により同法律二条による改正前の所得税法二三八条に該当するが、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、その懲役刑につき同法四七条本文、一〇条により最も重いと認める判示第三の罪の懲役刑に法定の加重をした刑期の範囲内、罰金刑につき同法四八条一項により第一ないし第三の罪の罰金額を合算した金額の範囲内において被告人を懲役一年六月及び罰金三、五〇〇万円に処し、同法一八条により被告人において右罰金を完納することができないときは、罰金額中一〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置し、同法二五条一項一号によりこの裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予することとする。

よって主文のとおり判決する。

(裁判官 加藤光康)

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